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タイニー・キャッスル

靴に紛れ混んでた気持ち悪い虫を形がなくなるまで踏み潰しても、気分は晴れない。

ほんと、今日は最悪だ。昼休みまでに弁当が届かなかったと思えば、放課後になって先生づてで校門前に落ちてたっていう弁当箱が渡されるし。5時間目の授業ではそのせいでお腹がなって笑われるし。全部あの馬鹿兄のせいだ。

本当に?少なくとも私がお弁当を忘れなければ、校門前に弁当箱を放置されることも、私が恥ずかしい思いをすることもなかったはずだ。それに、

(お兄ちゃん、もしかしたら傷ついてるのかもなあ…)

自分が愛情を込めて作ったお弁当を持って行ってもらえないのは、私が思っているよりもずっと傷つくことなのかもしれない。
高学年になってから冷たい態度ばっかりとってたけど、それでも文句一つ言わないで、忙しいお母さんの代わりに私の面倒を見続けてくれているお兄ちゃん。本当は感謝を伝えてあげなければいけないのに。

「今日はちょーっとだけ、優しくしてあげようかな」

帰ってきたら、久しぶりに大輔じゃなく、お兄ちゃんと呼んであげようと思った。

(お兄ちゃんきっと驚くだろうなー)

本当に久しぶりだから、ちゃんと呼べるかは分からない。でもきっと大丈夫だと思った。
ちょっと私の態度が変わってしまっただけで、お兄ちゃんはずっと昔から変わらない、大好きなお兄ちゃんだから。

その大好きな兄だった物が自らの靴底にこびりついていることなど知らずに、妹はそのまま帰宅路を歩いていくのだった。

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