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7.5話 気になるあの子と……

「ねーげんさん、修学旅行私と一緒に行かない?」

大事な話があるといって、突然人気のないところに半ば無理やり連れてこられたものだから、何を言い出すかと思えば、これです。

「はあ?なんでお前なんかと……」

別にまだはっきりと誰と行くと決めていたわけではありませんが、このさくらちゃんという女の子とだけは、何があっても一緒に行きたくないという思いは、意識的に持つようにしていたというよりは、もはや確認するまでもない当たり前のことであるかのように持っていました。

別にさくらちゃんのことが嫌いなわけではありませんが、それでも彼女と長い間付き合っている人間であるからこそ分かるのです。こいつと行ったら一生に一度の修学旅行がめちゃくちゃになる、と。

「ふーん、そんな口聞いてもいいのかなあ?」

もちろん、そんな黒田くんだから、彼女のこの「ふーん」から、何か良からぬものを察知することだってできたので、即座に(どんなことを言われたって動じるもんか)とディフェンスの心構えをとります。ですが……

「私、すでにあかねと一緒の班になるのを約束してるんだよねえ~」

「…!」

続くさくらちゃんの言葉は、彼が瞬時に打ち出した数パターンの予想のどれにも当てはまりませんでした。完全に虚をつかれた彼は、分かりやすくたじろいでしまい、さくらちゃんのおちょくり笑いの恰好の的になってしまうのでした。

 

ここまで述べれば、勘のいい人ならもう察することができたかもしれません。黒田くんは、さくらちゃんの旧来の友人である、隣のクラスの女の子……あかねちゃんのことが「気になって」いるのです。そしてその心のうちを知る者は、世界でただ一人、さくらちゃんだけなのでした。