時刻は夜の8時を回っており、外はすっかり暗くなっています。それでも、夏ということもあって、足元が見えないほどくらいというわけでもありません。これならいつもの場所までは問題なく歩いて行けそうです。そう思って、庭に足を踏み入れた時でした。
(あ……)
右の手のひらの中心から、じんわりと熱っぽいものが広がっていくのを感じます。
こんなに温かいのに、なぜかどうしても、お湯という単語と結びつけることができませんでした。それは、温かくありながら、流れる小川の水のようにさらさらと清らかでもあったのです。
自然、あかねちゃんは足を止めて、熱っぽい水が滴った自分の手のひらに目を落としました。うっすらと白い湯気が立ち昇るその中心にアオイちゃんはいました。
暗くて表情は見えないけれど、でも、ぼろぼろと、壊れたように泣いていることくらいは分かりました。


