夏休みも終わりに近づいてきた頃。またしても買い物帰りにさくらちゃんに遭遇して、一緒に喋りながら歩いているところでした。今日は重い荷物の半分を、さくらちゃんが引き受けてくれています。
「最近どーよ?あの子とは」
すっかり日焼けした彼女が、唐突にそう聞いてきます。もちろんアオイちゃんのことでしょう。
「まあまあかな」
「なんじゃそら。なんかもっとあるでしょ、あんな虫かご買っといて」
呆れたように言う彼女に、あかねちゃんは苦笑いで返します。
「あー…あれはもうやめちゃった」
「ええ、そりゃまたなんで」
——やっぱり、なんか違うのかもしれない。
あの後、あかねちゃんがそう言うと、アオイちゃんも少し考えてから、やがて
——……うん、私も、そう思い始めてたの。
と、ちょっとだけすまなそうに言ったのでした。
——おしまいにしよっか。
——うん。
それで、本当に虫かご生活はおしまいになったのでした。始まりに比べると、なんだかあっけない終わりであったような気がします。
また、辛くて苦しい環境にアオイちゃんを帰らせてしまうことだけが心残りで、いつでも泊まりに来てもいいんだからね、と伝えると、彼女は久しぶりに見せるような柔らかい笑顔でうなずいて見せたのでした。
だから、きっとそれでいいのです。ちょっぴり寂しいような気もするけれど、あかねちゃんにはあかねちゃんの生活があって、アオイちゃんにはアオイちゃんの生活がある。
その生活に疲れたとき、アオイちゃんの身も心も癒してあげられるような……そんな存在でありたいと、あかねちゃんは思ったのでした。
「まあ、私とアオイちゃんの友情は、虫かごなんかじゃ収まりきらないってことだよ、きっと」
「ほーん。そりゃ羨ましいねえ」
「あ、もちろんさくらちゃんのことだって、同じくらい大事に思ってるよ?」
「いや、それじゃあ私が拗ねてるみたいじゃん!」
夕空の下にしとやかな笑い声を響かせ、あかねちゃんは家路を歩いていました。心には、きっとまたベッドの上で帰りを待っているであろうアオイちゃんを描きながら。


