消えて、なくなりたい。そう願うのすら、生ぬるいことでした。
大好きな友達の手の上で、おもらし。あったかくて、柔らかくて、綺麗で、心地の良いにおいがする………そんな、あかねちゃんの手のひらを、自分のおしっこで汚してしまう。
耐えて、耐えて、意識が朦朧とするくらい限界を超えて我慢して、その果てにたどり着いたのが、こんな、世界で一番最悪な結末。
こんなことになるなら、タオルの上で漏らしていた方が、まだ、どのくらいよかったでしょう。
「……大丈夫だよ、アオイちゃん。私、別に気にしてないから」
心からの本音です。悪いのは自分で、アオイちゃんは何も悪くない…。
でも、今のアオイちゃんに何を言っても届かないということも分かっていました。せめて、アオイちゃんの涙を全部肩代わりしてやりたいのに、それもできない。鈴虫がなくような小さな嗚咽を聞きながら、こうした無力を噛み締めているしかないのです。
「ごめんね。おトイレ、ちゃんと作るから」
そう呟く声は、夜の闇の中に溶けていきました。数分前、土産話をすることに心を弾ませていたことなんて、もう遠い記憶のようでした。


