<<『あかねちゃんとアオイちゃん』エピソード一覧に戻る

6話 友達と虫かご

それから、とぼとぼと家の中に戻って、2時間くらい経ち、アオイちゃんはようやく少し落ち着きを取り戻したようで、今は新しいワンピースに着替えて、元着ていたものを洗濯しているところでした。
正確にいうと、泣き止んだ直後、アオイちゃんがまた今にも泣き出しそうな顔で何度も謝ってくるという時間があったのですが、同じ数だけあかねちゃんが「いいよいいよ」「気にしないで」「私が悪いんだから」と言い続けて、先程やっとそれが伝わってくれたのでした。

「はい、できたよ」

洗濯するアオイちゃんの横で、あかねちゃんが作っていたもの。それは、アオイちゃんが一人でも使えるようなトイレでした。完成したものを見てもまだ戸惑った様子でいる彼女に、使い方を説明し始めます。

そのトイレは、ペットボトルのキャップに折り重ねたティッシュを詰めて、工作用の厚紙を蓋に使ったという、実に簡素な作りでした。でも簡素であるからこそ、使うときも複雑な手順を踏む必要はありません。小さく切った厚紙くらいならアオイちゃんでも労せず動かすことができるでしょうから、おしっこがしたくなったときは蓋をあけて、キャップの縁に腰かけて、詰められたティッシュの上に出せばいいのです。そして、おしっこを吸ったティッシュはあかねちゃんが捨てて、また新しいティッシュに換える…という仕組みです。

「………。」

説明を終えたあと、アオイちゃんはしばらく黙っていました。でも、何か言いたそうな顔でこちらを見てきたことが、あかねちゃんは気になりました。

「やっぱり、それだとしづらいかな…?」

そう聞くと、アオイちゃんは小さく首を振りました。その顔は、何かを恐れているようにも見えました。

「そうじゃない……けど、これじゃまるで」

「まるで?」

トイレも管理。食事も管理。出入りも、入浴も、全部あかねちゃんの管理。そう、これではまるで————。

「……やっぱり、なんでもない」