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6話 友達と虫かご

荷物と一緒に虫かごの中に降ろしてあげると、アオイちゃんは周りをきょろきょろと見回しながら、目を輝かせていました。

「すっごーい……さっき入ったときと全然ちがう…!」

こんな反応をされると、あかねちゃんの方もまんざらではありませんでした。

「えへへ…これでちょっとは住みやすくなったかな…?」
「ねえ、もしかしてこのベッド、あかねちゃんが作ったの!?」
「私じゃ無理だよ〜。昔、お母さんに買ってもらったお人形用のベッドを持ってきたの」
「へぇーっ…あ、あとこれ!この丸いのはなに!?」
「それは、お湯を入れたらアオイちゃん用のお風呂になるんだよ。ほんとはお酒を飲むための容器なんだけど、お母さんに内緒で持ってきちゃった」

あかねちゃんは悪戯っぽい笑顔に、「しーっ」というジェスチャーを重ねました。アオイちゃんはそれに、同じような表情で応じます。
1時間くらい前は、同じ場所でおろおろしていたのが嘘のように、アオイちゃんは楽しそうでした。

「これなら、今の私の住んでる所よりずっとステキだよ!なんか、全然虫かごの中って感じしない!」

そんなアオイちゃんを見ていると、あかねちゃんまで楽しい気分になってくる……それは、間違いありません。
けれど、一方で……リフォーム後の虫かごの中に初めてアオイちゃんを入れたときからずっと、どこかもやもやとしたものも感じていたのです。その正体が、今のアオイちゃんの言葉で分かってしまったような気がしました。

(でも、やっぱり虫かごは虫かごだよ、アオイちゃん)

確かに、印象は変わりましたが、結局外から見ているあかねちゃんにとっては、一人でぽつんとかごの中に閉じ込められているか、小さな家具もろともかごの中に閉じ込めているかの違いでしかなかったのです。

これでは、なんだかアオイちゃんを騙しているようで、その自覚がほんの少しのやましさを、あかねちゃんの胸の内に生じさせるのでした。