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7話 アオイちゃんとミドリちゃん

一方で、ミドリちゃんは今、自分でも戸惑ってしまうくらいに、もっとあの人間の絵を描きたい、という意欲が漲みなぎっているのを感じていました。他の絵を描いていても、夕食の時間でも、暖を取るために、アオイちゃんと身を寄せ合って寝ている時でも、あかねちゃんを描くことばかり考えてしまいます。

(あれだけ人間を唾棄していた私がこんなザマじゃ、世話ないわよね)

自嘲気味の態度をとってみても、この気持ちを静めることはどうやらできないようです。

 

まだ、今よりももっと幼かったミドリちゃんが、一人で旅に出ることを決めたわけ。それはたったひとつ、「世界一美しいモノを描きに行きたい!」という無鉄砲な熱意が、ついに抑えきれなくなったからでした。

旅の中で、彼女は確かに様々なことを識りました。でも同時に、その場限りの出会いや発見を重ねて行ったり、行く先々で現実の厳しさ、恐ろしさを識っていったりしたことで、元来のそういった猪突猛進な性質を、いつしか失くしてしまっていたのかもしれません。

 

ふと、目を開けてみると、まつ毛が触れ合いそうなくらいの近さに、アオイちゃんのあどけない寝顔がありました。

(のんきな子だとばかり思っていたけれど、私のほうが大事なことを思い出させてもらっちゃったわね)

苦笑しながら柔らかなその頬を突っついてみると、「ふへ」と耳に毒のないような声が漏れました。