それからもミドリちゃんの人間に対する悪態は続き、やっとそれがおさまるのは、20分ほど経った頃でした。
「…ごめんなさい。つい感情的になってしまったわ」
「う、ううん。私の方こそ、もっと危険意識を持つようにするよ」
もっと他に言いたいことはありましたが、せっかくミドリちゃんが落ち着いてきたのにまた蒸し返すこともないと思い、黙っていました。
「ところで、さっき外を歩いていたけど、何か用事があったわけではないの……?」
「や…ちょっと、散歩してただけだよ」
「そう……何度も言うようだけど、外に出る時は本当に気をつけた方がいいわよ」
(…本当は、あかねちゃんに会いに行くつもりだったんだけど、それも言わない方がいいよね。はあ、今日はもう行けないなあ……。……約束破っちゃったから、あかねちゃん、きっと今頃悲しんでる。今度、ちゃんと謝らなきゃ)
きっと今はまだ、ふさわしい時期ではないのでしょう。でも、ここから少しずつ、ほんの少しずつでいいから、ミドリちゃんにも、優しい人間もいるってことを知っていってもらうんだ、とアオイちゃんは胸に誓いました。
(それで、いつか三人一緒に…)
楽しそうに笑うアオイちゃんと、ちょっぴりぶっきらぼうに振る舞うミドリちゃんと、そんな二人を穏やかな顔で見下ろすあかねちゃん。そんな光景に思いを馳せることは、沈んだ心を、ほんの少し暖かく照らしてくれていました。


