「あげる」
出どころを見ていないため、男にははじめ、それが何なのか分からなかった。
異界の宝石のように、赤く透き通った球体。それも、運動会で使われる大玉のようなスケール。
だが、彼女の言葉と、視覚的な情報と、潜在的な願望とが、徐々に徐々に答えに導いていく。
(は、え……?これって、あ、はは……)
何かの間違えだと思いたかった。誰に通じるでも無いのにしきりに首を振る。過呼吸と笑いが渾然一体となっていく。あの時と同じように。
(嘘だ、嘘だ、嘘だ!)
だが、いくら可能性を否定しようとしたところでそれは、彼女の口から吐き落とされた、いちご味の飴玉だった。


