「ほんじゃ、また明日」
「うん、また明日……あ、さくらちゃん」
玄関の扉に手をかけていたさくらちゃんが、体勢はそのままに顔をあかねちゃんの方に向けたので、あかねちゃんはそのまま続けます。
「会わせることは難しいけど、時々でよかったら、アオイちゃんの話を色々聞かせてあげる。…というか、聞いてほしいな」
その言葉に、さくらちゃんはいつもの、気持ちのいい笑顔で答えました。
「期待してる」
おそらく、アオイちゃんを守ってあげられる人間は、依然としてあかねちゃん一人だけでしょう。けれど、アオイちゃんの存在を知り、アオイちゃんの話題を共有できるような人間……それができたということは、あかねちゃんにとってはとても大きなことです。さくらちゃんと別れ、一人でいても、今度は自分が嬉しくて笑っていることが、あかねちゃんには分かったのでした。
そう、この時はまだ、昨日、そして今日の出来事が、のちに起こることになる大事件の鍵を握ることになるなどとは、誰も知らなかったのです…。


