<<『優奈』エピソード一覧に戻る

2話

男は夢を見た。

子どもの頃、好きだった女の子の夢。

優奈に似ているかというと、そういうわけではない。優奈の方がいくらか顔立ちは整っている。

でも好きだった。なぜあんなに好きだったのか思い出せないけど、確かに好きだった。

中学から、自分が地元を離れてしまうから、卒業式の日に告白しようと決めていたのに。

勇気が無くて、ついに叶わなかった。

ああ、そうだ。

学校の敷地の隅っこから、ただ友達や両親と笑い合うあの子を見ているしかなかったあの時にした花の香りと、優奈の髪の毛の香りは、よく似ていたんだ。