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4話(終)

あの時は、本当に危なかった。

正直に言って、あの人が害虫として踏み潰されるだけであれば、別に構わなかった。

ただ、自分の靴下から小人が落ちたところを、誰かに見られていた可能性があったと思うと、ゾッとする。

——先生。優奈ちゃんが靴下に、小人の人入れて、いじめてました。

そんな風に告げ口されれば、きっと、宿題を忘れた時と同じようには済まない。保護者に連絡が行き、PTAの議題に取り上げられて、あるいは、警察沙汰にまで発展するかもしれない。

そこまで、分かっているのに。

どうしてわたしは、あの人の活動を今日も、つま先の下に感じているんだろう。 

 

いつからか……多分、3年生のときにお父さんが離婚して、苗字が変わってからだと思う。 

人と違うということが、怖かった。 

だからわたしは、以来、いろんな人に合わせるように生きてきた。 

ルールから外れないように生きてきた。 

きっとこれからも、そうしていくのだと思う。 

それなのに、どうして。 

「小人に優しくしましょう」ってポスターが、校内に貼られているのに。 

周りを見たって、こんなことをしている子なんて、誰もいないのに。 

 

いや、それとも————誰もが隠しているだけで、本当はみんな、こんな風に上履きの中で、小さな男の人を飼っていたりするのかもしれない。 

女子の中で1番、かけっこの速いあの子も。 

ブラスバンドで、パーカッションのパートリーダーになったあの子も。 

椅子の背もたれにポニーテールを垂らした、前の席の、この子も。 

 

縮小機の被害件数は、今わたしたちがこうして、授業を受けている間にも増え続けていて。1割は無事に親族に保護されて、2割は死亡が確認されて……残りの7割は、行方が分からないらしい。そのうちの少なくとも半分が、第三者によって私的に保護されるケースであると言われていた。 

 

ちなみに、縮小禍が始まって半年以上が過ぎて————ちさとも、うっぴぃも、それぞれ「自分の」小人を手に入れていた。 

もちろんそれは、わたしたち3人の間の秘密ではあったのだけど。