結論から言えば。男は、あっという間もなく、自らを収容するそのアクリルケースごと引き出しの中から取り出され、靴の中の小石のようにぞんざいに振り落とされて————優奈の机の上に転がっていた。懐かしい眺めのはずだった。あの日までは毎日ここで、優奈との時間を過ごしていたのだから。
それが今。机の上には、さながら謁見の間のような厳かな空気が漂い————玉座に鎮座する上位の存在が、ぼくを冷徹に見下ろしている。
(優奈————)
再開を無邪気に喜んでいられるような空気ではなかった。
何が、ここまで変わってしまったのだろう。ぼくの方か、優奈の方か……あるいは、両方なのかもしれない。
もう、あの日までのような関係には戻れないのだろうか?
……そんなことはない。ぼくはかぶりを振る。優奈はまだぼくと対話する気があるから、今一度こうして、机の上で向かい合っているんじゃないか。
……そうだ、きっとそうだ!案外、ぼくの方からあっけらかんとして話しかければ、優奈も気勢を削がれて、今まで通りに接してくれるようになるかもしれない————。
「ああ、優奈ちゃん、久しぶりだね!良かった、もう出してくれないのかと思ってたよ!本当にごめん!君の言うことを聞かずにぼくといったら……ああ、でも本当にこうして戻って来れてよかった!聞いてよ、ぼくは君の友達に酷い目に合わされたんだ。ああほんと、思い出しただけでも震える。だから本当君が来てくれてよかったよ。皆の前で君の指を舐めさせられた時は流石に狼狽えたけどね。ははは、は、は……………」
男が何かをさえずるのを、蛆虫でも見るような目でひとしきり眺めた後、優奈は静かに口を開いた。
「————さんって、「ロリコン」なんですか?」


