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4話(終)

————ああ、なんだ。

力を入れれば、壊れてしまいそうななほどに華奢な肩。

乾いた土の上に乱れた髪。

「………、………っ!!」

片手だけで掴めてしまう顎。

恐怖に見開かれた瞳。  

そこには、指先ひとつで男に神罰を下す唯一絶対の巨女神の面影はなく。 

繊細で、無防備な、等身大の女子児童がひとり。大人相手に何もできずにただ、押し倒されていた。 

 

————こんなに簡単に、思い通りにできてしまうのなら。 

 

抵抗の意思を失くしたのを悟ると、男はゆっくりと、口を抑えていた手を離す。 

虚ろな瞳は、どこともつかない一点に向けられていて。 

半開きの唇からは、薄膜のような唾液が漏れ出している。 

がさつき、黒ずんで、骨張った親指が、汚れなき白の顎筋をなぞりながら、やがてその下唇に触れた。 

かさついた薄皮の下に潜在する、確かな唇の柔らかさと、言葉を失うほどの小ささが、指先を通して伝わる。 

ごくり、と生唾を飲む。 

 

————はじめから、こうすればよかったんだ————。 

 

顎先に手を添え、目を閉じて。 

顔を寄せると、研ぎ澄まされた嗅覚が、立ち上るほのかな石鹸の香りを捉える。 

身体を清めてきたらしい。いじらしく、自分に会うために? 

そんな少女を穢す悦びに、どくどくと血が湧くのを感じながら。 

 

男は唇を、優奈の唇に、ゆっくりと重ね合わせる。 

 

 

夜風が凪いで。草々が静まり。 

まるで時間が止まったように感じられた。 

 

 

刹那。 

稲妻が走るような激痛が、男を襲った。