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3話

ぱちり。

優奈が明かりを灯すと、ぼくの眼前に、懐かしい景色が広がっていた。

姉妹2人で使っている、木製の2段ベッド。

優奈との思い出の詰まった、電気スタンド付きの勉強机。

その脇にかかった、パステルピンクのランドセル。

(やっと、帰ってきたんだ。)

腕の力が抜けて、気づけばぼくの体は、床の上に落ちていた。

(やっと。やっと…………。)

感極まって、目頭がじんわりと熱くなる。

ラベンダーの香りも、ローズマリーの香りもしないし。

床の上は、クレヨンや自由帳の切れ端で散らばっている。

でも、ぼくはそんな部屋に、ずっと帰りたかったのだ。

優奈がいる、この部屋に。

(……もう、いいよね。優奈……)

ハート形のクッションに腰を落ち着けて、スマホを弄りだした優奈。

今日のことで、友達にメッセージを送ったりしているのかもしれない。

ぼくはそんな彼女に、とことこと近づいていく。

膝を立てて、足をぺたぺた動かして。

……スカートの中が丸見えだ。クッションよりも柔らかそうなふとももが、そのはざまで少しよれている、薄紫色の綿のショーツが、嫌でも目に入ってしまう。

さらにその脇には、燻んだ水色のニーソックスが、お行儀悪く脱ぎ捨てられている。

誰かに見られているなんて、つゆほども思っていないという感じだ。

きっと、ぼくが帰ってきたことを知ったら、優奈、びっくりするだろうな。

顔を見たら、まず、これまでの身勝手を謝ろう。

それから、愛してるって伝えたい。やっぱり、優奈はびっくりするだろうけど。