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3話

たどり着いた。優奈の脚の山麓に。

膝の頂上を超えた向こう側にある、優奈の顔はここからだと見えない。

とにかく、触って気づいてもらうしかない。幸い、さっきまでの足の動きは止まっていた。

(優奈、ぼくだよ)

ちょん、と、優奈の足の親指を、人差し指でつついてみる。

自分と、優奈の足の間に、見えないテープを張って、その外側からつつくように。

けれど、何も反応はない。繰り返してみても、同じだ。

(…………)

できれば、それで気づいて欲しかった。

おっかなびっくりに、ぼくは一歩前に、見えないテープの向こう側に立ち入った。

(……あぅ、……)

つんとした酸っぱい空気が、ぼくの鼻頭を撫でる。

かぶりを振って、何も考えないようにしながら、ぼくは足指をぺちぺちと両手で叩く。

それでも、優奈は気づかない。

(…………)

ぼくは、優奈の足の親指にだきついた。

(けほっけほっ……)

濃密な酢の香りにむせながら、蒸されるような熱を感じながら、ぼくは全身で、優奈に働きかけた。

ぼくだって、こんなことは、したくなかった。案の定、ぼくはその続きが欲しくなっている。

優奈の素足。小さくなってからはじめて目にした、優奈の素足。

ちさとに何度も舐めさせられて、女の子の足には免疫がついたと、勝手に思っていた。

においだって、ちさとのブーツの中の方がひどかったのに。

でも、やっぱり優奈は、ぼくにとって特別だった。

(ただいま、優奈……)

やがてぼくは、数メートル後方に突き飛ばされていた。