たどり着いた。優奈の脚の山麓に。
膝の頂上を超えた向こう側にある、優奈の顔はここからだと見えない。
とにかく、触って気づいてもらうしかない。幸い、さっきまでの足の動きは止まっていた。
(優奈、ぼくだよ)
ちょん、と、優奈の足の親指を、人差し指でつついてみる。
自分と、優奈の足の間に、見えないテープを張って、その外側からつつくように。
けれど、何も反応はない。繰り返してみても、同じだ。
(…………)
できれば、それで気づいて欲しかった。
おっかなびっくりに、ぼくは一歩前に、見えないテープの向こう側に立ち入った。
(……あぅ、……)
つんとした酸っぱい空気が、ぼくの鼻頭を撫でる。
かぶりを振って、何も考えないようにしながら、ぼくは足指をぺちぺちと両手で叩く。
それでも、優奈は気づかない。
(…………)
ぼくは、優奈の足の親指にだきついた。
(けほっけほっ……)
濃密な酢の香りにむせながら、蒸されるような熱を感じながら、ぼくは全身で、優奈に働きかけた。
ぼくだって、こんなことは、したくなかった。案の定、ぼくはその続きが欲しくなっている。
優奈の素足。小さくなってからはじめて目にした、優奈の素足。
ちさとに何度も舐めさせられて、女の子の足には免疫がついたと、勝手に思っていた。
においだって、ちさとのブーツの中の方がひどかったのに。
でも、やっぱり優奈は、ぼくにとって特別だった。
(ただいま、優奈……)
やがてぼくは、数メートル後方に突き飛ばされていた。


