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3話

痛む後頭部を押さえながら、ぼくは体を起こす。

正面を見やると、山を作っていた2本の優奈の脚が、垂直に伸びている。

優奈が立った。

ぼくははやる気持ちで、その脚の伸びる先を目で辿った。

優奈が、ぼくを見下ろしていた。

明らかに、ぼくの存在に気づいていた。

(優奈っ!)

ぼくはうれしくて、ぴょんぴょん跳ねてアピールした。

ああ。これで、やっと全部終わったんだ。

ぼくの心の中は、多幸感や祝祭感に満ち満ちていた。

思えば、ちさとに捕まっていた間は、ずっと過去のことばかり考えていた。

どこで間違えてしまったんだろう、とか。ぼくの人生ってなんだったんだろう、とか。優奈のいた頃に戻りたい、とか。

でも、今ぼくの頭の中には、これからの希望しかない。

これから、優奈と何をしよう。

これから、優奈と何を話そう。

優奈に想いを打ち明けて、もし、付き合えることになったら。

優奈に膝枕してもらって。

優奈にお風呂に入れてもらって。

優奈と、キスをして。

優奈、と…………。

優奈は、足元の男を見て。そして。

眉をひそめて、嫌悪感を顕にした。